映像装置の多様化と一般化によって、映像を見ることは日常化したが、映像で表現すること、映画を撮ることが一般化したとは言いがたい。
それによって、映画は衰退したのだろうか? それとも……。ユニークな活動をしている3人の映画監督を招き討議する。
- CREAMフォーラム セッション2:映像の日常化 vs. 映画の衰退?
- 日 時:11月1日(日)11:00 - 13:00 ※終了しました
- パネリスト:諏訪 敦彦(映画作家)
ジャン=シャルル・フィトゥッシ(映画作家)
クリス・チョン・チャン・フイ(映画作家/メディア・アーティスト) - ナビゲーター:藤幡 正樹(アーティスト/東京藝術大学)
- 概 要:そもそも、絵を描き、見せる行為が、子どもの頃から始まるのに対して、写真を含む映像体験は、撮られるという受け身からはじまり、それを見せられるという形へと進む。特に70年代以降は、それが写真ではなく、ビデオで起こるようになった。セッションでは、従来型の映画概念とはいくらか異なった場所からスタートしながら、すでに映画作品としての成立に成功している3人の映画監督を招き、どこから映画が始まっているのか、どこから映画を始めればいいのか、作るとは何か、観客とは何か、映画は衰退したのか、等々について、それぞれの立場からの経験を起点として、映像文化のあり方を討議する。
諏訪 敦彦(Nobuhiro Suwa)
1960年広島県生まれ。大学卒業後、長崎俊一、山本政志、石井聰亙などの作品に参加する一方で、「はなされるGANG」(84年/8ミリ)などの作品を発表。テレビドキュメンタリーの演出を手掛けた後、97年「2/デュオ」で監督デビュー。定型のシナリオなしで撮影されたその作品の完成度の高さが、国内外で絶賛され、ロッテルダム国際映画祭でNETPAC賞を受賞する。 2作目の「M/OTHER」では三浦友和を主演に起用、99年カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。アラン・レネ監督の「二十四時間の情事」をリメイクした、3作目「H Story」は主演にベアトリス・ダルを起用、2001年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品される。ヴァレリア・ブルーニ=テデスキを起用した4年ぶりの長編作品「不完全なふたり」はロカルノ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、フランスでの上映もロングランヒットを記録した。オムニバス映画「パリ・ジュテーム」では唯一の日本人監督として「ヴィクトワール広場」を制作、主演にジュリエット・ビノシュを起用。俳優イポリット・ジラルドとの共同監督「ユキとニナ」が2009年カンヌ国際映画祭監督週間に出品され、2010年春にフランス、日本他で公開される。
2008年より、東京造形大学の学長職を務めている。
ジャン=シャルル・フィトゥッシ(Jean-Charles Fitoussi)
1970年、フランスのトゥール生まれ。上映装置と編集機材を自宅に備え持つ父の影響から映画に目覚め、12歳の時に自主映画を撮影する。エコール・ポリテクニークにて科学、哲学、建築を学んだ後、1994年に初監督作品「そうなっているだろう(Aura été)」を発表。また、1996年から2007年までストローブ=ユイレの助監督を務める。その間、彼らの作品「シチリア!(Sicilia !)」(1998)の撮影風景を記録したドキュメンタリー「“シチリア!”撮影開始(Sicilia ! Si gira)」(2001)を監督する。2003年に初めての長編劇映画「私が存在しない日々(Les Jours où je n'existe pas)」を発表。ロカルノ映画祭、カンヌ映画祭など多くの映画祭で上映された。2006年には携帯電話で撮影された「ローマ王のための夜想曲(Nocturnes pour le roi de Rome)」を監督。カンヌ国際映画祭批評家週間の招待作品に選出される。その他の近作として「永遠へようこそ(Bienvenue dans l'éternité)」(2007)、「別れた者たちの歌(Le chant des séparés)」(2008)、「私は死んでいない(Je ne suis pas morte)」(2008)、「日本の時(Temps japonais)」(2008)など。
クリス・チョン・チャン・フイ(Chris Chong Chan Fui)
マレーシア生まれ。映画作家、メディア・アーティストとして、型にとらわれないストーリー作りと実験性にフォーカスを当てた作品を作り続ける。最新作「KARAOKE」(2009)は、カンヌ映画祭、トロント国際映画祭でプレミア上映された。その他の主な作品として、「BLOCK B」(2008)、「DI ANTARA CAHAYA (IN BETWEEN LIGHT)」(2008)、「KOLAM (POOL)」(2007)、「TUESDAY BE MY FRIEND」(2006)などがある。
ヨコハマ国際映像祭2009には、インスタレーション作品「HEAVENHELL」(音響:森永泰弘)を出展。
藤幡 正樹(Masaki Fujihata)
1956年東京都生まれ。現在、東京藝術大学大学院映像研究科長。
80年代から、コンピュータ・グラフィックス作品を発表。早くから技術開発と表現の問題について作品を通して言及している姿勢は今も変わらず、コンピュータを用いた彫刻作品から、インタラクティブな作品、さらにバーチャル・リアリティー、ネットワークまでも芸術の新しい表現として利用し、メディア・アートの領域に新鮮な作品を送り込み続けている。
ネットワークをテーマにした作品 「Global Interior Project #2」は、1996年の「アルス・エレクトロニカ」でゴールデン・ニカを受賞。また、インタラクティブな本をテーマにした作品 「Beyond Pages」は、ヨーロッパ、アメリカを巡回し、1997年にZKM (Center for Art and Media)のパーマネントコレクションになった。
著書に『未来の本の未来』(ジャストシステム、1995)、『巻き戻された未来』(ジャストシステム、1995)、『CGの軌跡』(ジャストシステム、 1998)、『カラー・アズ・ア・コンセプト』(美術出版社、1997)、『ア−トとコンピュ−タ — 新しい美術の射程』(慶應大学出版会、1999)、『先端芸術宣言!』(共著、岩波書店、2003)、『不完全さの克服』(展覧会カタログ、トランスアート、2007)、『不完全な現実 — デジタル・メディアの経験』(NTT出版、2009)などがある。
ヨコハマ国際映像祭2009には、イギリスの北アイルランドで地元の音楽家とコラボレーションした作品「響き合う音/風景」を出展。









